10段階評価 |
コメント |
音質 |
7 |
設定は難しいが良い音 |
操作 |
4 |
ある程度の理解が必要 |
信頼 |
6 |
今のところ故障無し |
価格 |
5 |
プレミアがついているのかどうかわからない |
総合 |
6 |
コンパクト型ならメインになったかも |
評価は5が普通の基準で前後する目安としてください。 |
グヤトーンのHIPシリーズ、チューブ・オーバードライヴHOD-1。
その名の通り真空管を搭載したドライヴな訳だが、同じHIPシリーズのHTD-1はコンパクト型なのに、何故かこちらはハーフラックになっている。
中身を見てみるとトランスと大きなコンデンサーが見える。フィルムコンデンサーとかも耐圧が大きく、電解コンデンサーは耐圧200Vだ。ということは百数十ボルトで真空管を駆動しているのが想像できる。そして12VのレギュレーターもあるのはICやオペアンプの為の電圧だろう。その辺の構成はHTD-1とほぼ同じだ。
さてハーフラックにしたのはプリアンプとしての役割を狙ったのだろうか?入出力端子が豊富にある。入力は前面と後面2系統、出力は通常の出力に加えてダイレクトアウトと「EXT.OUT(SIMULATED)」がある。これはたぶんライン出力だと考えられる。
前面の操作ツマミも豊富だ。通常のGAIN,LEVELと2バンドEQまではHTD-1とも同じなのだが「PRE TONE」ツマミと「Eb」というスイッチが付いている。PRE TONEは名前の通り真空管でクリップさせる前のトーンコントロールだろう。
そして「Eb」は音の感じとスイッチの位置からして、真空管ヒーターへの電圧切り替えだと考えられる。
さて音がどうか。ゲインを絞りきるとシングルコイルならば生音から出る。ハムバッキングPUだと若干歪んでいる。その状態から徐々にゲインを上げることができるが、2時方向を過ぎたあたりからはちょっと潰れた感じになる。これは真空管ドライヴの宿命か!ほとんどのドライヴが歪ませすぎると潰れる。なのでゲインは12時までぐらいが実用範囲なのか?
とりあえずLEVEL意外を全て真ん中で試すと艶が有り適度に歪んで中々良い音がしている。低音がゴンっと出て高音がギラギラしている。いかにも真空管の歪みと言う音だ。しかしこれも真空管の宿命かサスティンがさほど無い。
そこでちょっといじってみる。PRE TONEを絞り気味にして真空管へは低音をぶつけるように仕向け、HIGHツマミを少し上げてやる。すると更に艶が増してサスティンも出てきた。この辺の調整がポイントのようだ。
次に「Eb」スイッチを試してみる。このスイッチは一見なにも反応が無いように感じる。しかし良〜く聞くと大きく違う。まずスイッチを切り替えて5秒ぐらいしないと音に反映されないのだ。その辺で真空管ヒーターへの電圧切り替えなんだなと想像できる。
スイッチをA側にすると音量が上がり若干歪み方がクリアになる。一方B側は音量が下がり歪み方がすこし潰れたようになる。以上のことからA側が通常の電圧でB側が電圧を抑えていることが判る。
さきほどゲインを上げると潰れると言うのはAモードだったのだ。これをBモードにすると綺麗に歪んでくれた。この辺も設定のコツになると思う。
ゲインが12時より低い場合はAモードの方が音に芯がありクリアな歪みだ。それ以上歪ます場合はBモードにした方がディストーションとしてのピッキングニュアンスを出してくれて、音が潰れていないように聞こえるのだ(実際には潰れているはずだが)。これでゲイン12時以降全域に渡って実用範囲となった。
通常真空管ヒーターへの電圧は12Vと決まっている(12AX7の場合)。それを低く設定できるようにして荒い歪みに対応させると言うアイディアは初めて拝見した。
上記のことを理解した上で音作りをして行くと、かなり好みな音が作れるようになった。
このドライヴもすでに発売されていないし、最近のグヤトーンの真空管シリーズは低電圧になってしまったので真空管の本当の音が出ていない。
ミュージシャンというのはどうしても無いものねだりになってしまうのだが、このようなドライヴを再販していただきたいと思う。
2008.05.23
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